複数人の脳活動を同時計測するハイパースキャニング研究で,当事者間での脳活動の同調やそのダイナミクスが,様々なインタラクションのアウトカムと相関することが示され始めている.相関を越えた,個人間脳同調の因果的役割の理解に向けて,本研究ではインタラクション時の脳同調を当事者たちにフィードバックしその制御を学ばせる「ハイパーニューロフィードバック」を開発し,脳同調の制御が協力課題や集団創造的課題のパフォーマンスに及ぼす効果を検証する.より根源的には,個人への還元主義的視点を越えた「われわれ」という主体を定量的に確立するとともに,人が持つ共感や協力の能力をより拡張する可能性に向けたチャレンジである.