肺癌は早期であってもしばしば転移・再発をきたす。術後再発予防策の進歩が望まれるが、シスプラチンを用いた術後補助化学療法は早期(Ⅰ期)肺癌に対して有効性が示されておらず、その理由は解明されていない。一般に癌細胞は転移・伸展していく過程で、その性状を変化させ微小環境を整えていくことが知られている。そこで、転移初期に起こる上皮間葉転換という現象に着目し、その状態にある肺癌細胞がMcl1という蛋白質を増やすことで抗癌剤耐性を増強させることを解明した。今後、術後再発予防のためのターゲットとして期待されると考える。