抄録
―二次的創作物が支える日本のエンターテイメントの特殊性を踏まえて
Cool Japanの中心的存在として位置づく日本のエンターテイメント(アニメーション、漫画およびゲーム等)は、一般の顧客だけではなく、ファン活動によって支えられている。ファンは、概して「オタク」と呼ばれ、彼らのファン活動は近年では「推(お)し活」ともいわれる。彼らは、インターネット上で交流し、パロディ等の二次的創作物を創造・販売・購入し、エンターテイメントを盛り立てている。その活動には一定の自律的ルールも有り(自主規制)、それが日本の著作権法(1970年法律第48号)の3年間の4度の改正にも影響を与えている。つまり、親告罪(著作権法123条1項)の維持により、著作権者が二次的創作物の作者に対して弾力的な対応が取れるようになっている。
日本は、米国法に由来する「フェア・ユース」の導入議論があったが、見送られた経験をもつ。コモン・ローの蓄積による法創造能力を有する裁判機能をもたない日本においては、筆者は「日本版フェア・ユース」を導入することには直ちには賛同できない。前述のように、エンターテイメント知財を中心に、二次的創作物のためや普及のために、自主的に著作権を弱め、「知のグローバル・コモンズ」や「クリエイティブコモンズ」等を創出する独自の動きもあると考えるからである。目指すべき実体を踏まえての法制度構築こそ求められている。
Cool Japanの中心的存在として位置づく日本のエンターテイメント(アニメーション、漫画およびゲーム等)は、一般の顧客だけではなく、ファン活動によって支えられている。ファンは、概して「オタク」と呼ばれ、彼らのファン活動は近年では「推(お)し活」ともいわれる。彼らは、インターネット上で交流し、パロディ等の二次的創作物を創造・販売・購入し、エンターテイメントを盛り立てている。その活動には一定の自律的ルールも有り(自主規制)、それが日本の著作権法(1970年法律第48号)の3年間の4度の改正にも影響を与えている。つまり、親告罪(著作権法123条1項)の維持により、著作権者が二次的創作物の作者に対して弾力的な対応が取れるようになっている。
日本は、米国法に由来する「フェア・ユース」の導入議論があったが、見送られた経験をもつ。コモン・ローの蓄積による法創造能力を有する裁判機能をもたない日本においては、筆者は「日本版フェア・ユース」を導入することには直ちには賛同できない。前述のように、エンターテイメント知財を中心に、二次的創作物のためや普及のために、自主的に著作権を弱め、「知のグローバル・コモンズ」や「クリエイティブコモンズ」等を創出する独自の動きもあると考えるからである。目指すべき実体を踏まえての法制度構築こそ求められている。
寄稿の翻訳タイトル | 再考:日本におけるフェア・ユース導入は必要か? |
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本文言語 | 英語 |
ページ(範囲) | 279 |
ページ数 | 290 |
ジャーナル | 国際取引法学会 |
巻 | 8(大塚章男先生追悼号) |
出版ステータス | 出版済み - 2023/03/20 |
キーワード
- Japanese Entertainment
- Copyright
- Copyright Act
- Fair Use
- Relevant Work