土地所有者の管理義務と狩猟者のアクセス権を考える―ペンシルバニア州を事例として―

研究成果: ジャーナルへの寄稿学術論文

抄録

米国においては、狩猟者は野生生物の保全者として位置付けられており、狩猟する権利も魚釣りを楽しむ権利と同様に、社会的にその存在が認知されている。とはいえ、狩猟者と、狩猟者が狩猟を実施する土地所有者との間には、その土地利用のあり方や狩猟の安全性、狩猟者のマナー等に関して、常に緊張感がある。彼らは、狩猟者コミュニティ、土地所有者コミュニティをというものをそれぞれ形成して、地域の中で折衝を繰り返している。そうしたなかで、ペンシルバニア州ゲームコミッションは、狩猟者に対して狩猟可能地域をより広く設定することを目的として、土地所有者に各種の働きかけをしている。そこで、(1)なかでも、ハンター・アクセス・プログラムは大きな貢献をしており、この政策と、その裏付けとなっているペンシルバニア州のRULWA(Recreational Use of Land and Water Law:1966 年制定)について紹介した。(2)次に、ペンシルバニア州では、判例や、狩猟者が関わる事件を介して、このRULWA の見直しもしてきている。すなわち、狩猟者コミュニティと土地所有者コミュニティとの間のコンセンサスを、制定法に織り込み、より適切な関係性を築こうとしているのである。よって、そうした模索の事例を紹介した。(3)そのうえで、日本法において、狩猟者と土地所有者の関係整備していく上で必要となってくる考え方(法理)と手法について若干の試論を行った。
本文言語日本
ページ(範囲)27-63
ジャーナル富山大学紀要.富大経済論集
60(3)
出版ステータス出版済み - 2015/03

キーワード

  • 土地所有者
  • アクセス権
  • ペンシルバニア州
  • 野生動物保護管理
  • Wildlife

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