抄録
本研究では、幼稚園におけるウサギの飼育体験活動を通して、子どもがどのような体験をするのかを検討した。事前の面接調査に基づいて幼児を4つのタイプに分類し、飼育当番中の子どもの言動の観察、生命尊重に関する態度に関する面接調査、ウサギの描画、担任保育者からの聞き取りという4つの測度に基づいて、飼育体験がもたらす効果を検討した。その結果、子どものタイプごとに飼育体験が持つ意味が異なっていることが示された。家庭での動物飼育体験があり生命尊重の意識が高い子どもにとっては、ウサギの飼育体験は顕著な態度の変化をもたらさなかった。家庭での動物の飼育体験があり、かつ生命尊重の意識が低い子どもにとっては、ウサギの飼育体験は生物の理解を高める効果はもたらすが、生命尊重の意識を高めることはなかった。家庭での飼育体験がなく生命尊重の意識が低い子どもにとっては、飼育体験は生命尊重の意識を高める効果があった。なお本研究においては、飼育体験がないが生命尊重の意識が高い幼児は、飼育体験後には生命尊重の意識がより高くなっていたが、これはウサギ飼育の体験以外の要因が影響を及ぼしている可能性があるため、今後のさらなる検討が必要である。
本文言語 | 日本 |
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ページ(範囲) | 95-104 |
ページ数 | 10 |
ジャーナル | 教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 |
巻 | 13 |
出版ステータス | 出版済み - 2018/12/20 |
キーワード
- 保育内容(環境)
- 飼育体験
- 生物学的理解
- 生命尊重