動物飼育体験の教育的効果(1): ウサギの飼育は生物学的理解を促進するか

Makoto Kobayashi, 板倉 佳代, 米﨑 瑛美, 稲垣 恵美子, 神川 瑞子

研究成果: ジャーナルへの寄稿学術論文

抄録

附属幼稚園におけるウサギの飼育体験の前後で、ウサギについてのイメージの聞き取り調査と、ウサギの描画データの収集を行った。事前調査の際には、男女を問わずピンク色のマーカーペンを用いてウサギを描く幼児が多かったことから、「ウサギ=ピンク色」という概念をもった幼児が多いと言える。女子の描く描画には、2本足で直立するウサギや服を着たウサギが多く描出されていたことから、ウサギを擬人化して描写していると考えられる。事後調査の描画では、茶色のマーカーペンでウサギを描く描画が全体を通して多く見られた。附属幼稚園で飼育しているウサギは茶色であり、ピンクや白いウサギから茶色に変化したことは、実際に飼育体験で接したウサギを連想して描いたものだと考えられる。さらにウサギの形態として、髭や4本脚、指や爪、尾などが描出されるようになったことから、実際のウサギの形態が理解されるようになったと考えられる。さらに多くの子どもが、ボウルの中に入っている餌や水、クローバー、排泄物を書き加えていた。これは事前調査では見られなかったことであり、飼育当番の体験によってウサギの生態(生物としての機能)を理解するようになったとと考えられる。
本文言語日本
ページ(範囲)9-14
ページ数6
ジャーナルとやま発達福祉学年報
9
出版ステータス出版済み - 2018/05/31

キーワード

  • 保育内容(環境)
  • 飼育体験
  • 生物学的理解

引用スタイル