抄録
本件は、この地理的表示保護制度におけるいわゆる地域内アウトサイダーの問題を呈した事例である。地域内アウトサイダー問題に関しては、いわゆる博多織事件(商標権侵害差止等請求控訴事件・東京高判平成 26 年 1 月 29 日判時 2273 号 116 頁)と本件(八丁味噌事件)が著名である。なお、本件第一審判決については複数誌に解説が、地域内アウトサイダー問題についてもいくつかの論稿が既に存在するところ、本稿は、それらを概観し、本件控訴審としての知財高裁判決を検討するものである。既に県組合と八丁組合が存在しており、八丁味噌という地域ブランドも確立していたときに、なぜ農林水産大臣はあのタイミング、つまり「2 つの八丁味噌」問題が現存していた段階において、その解決を待たずに本件処分を行ったのかという疑問がある。地域ブランドを守るための制度が、地域ブランド内に軋轢と亀裂をもたらした事案であり、もっと早期に何らかの解決ができなかったのかということが悔やまれる。
本文言語 | 日本 |
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ページ(範囲) | 87 |
ページ数 | 100 |
ジャーナル | 企業法学研究 |
巻 | 12(1) |
出版ステータス | 出版済み - 2024/03/31 |
キーワード
- GI
- 地理的表示
- 八丁味噌
- 地域内アウトサイダー
- 行政事件訴訟法
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