抄録
沖縄の住民らが、沖縄県知事および沖縄市長が沖縄本島中南部の東海岸に位置する泡瀬干潟の一部を埋め立ててスポーツ施設を建設する事業に関する財務会計上の行為が違法であると主張して、地方自治法242条の2第1項1号に基づき公金支出の差止を求めた住民訴訟である。第一次訴訟は、原告側の差し止め請求が一部につき認容される形で結審したため注目を集めた。その後、埋立工事に再開にあたり本件すなわち第二次訴訟が提起された。経済的合理性の観点から鑑みるに、本件において裁判所は、経済的合理性の法規範性を述べながらも、首長の裁量権をより広く捉えることで判断を下しており、その適法性(正当性)に疑問を呈したものである。さらに、裁判所は、被告知事の判断は裁量権の逸脱又は濫用したものではないと判断しており、いわゆる種の保存法による希少野生動植物種や天然記念物に指定されていない地域固有種等の保護の難しさを露呈させた。
本文言語 | 日本 |
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ページ(範囲) | 297-300 |
ジャーナル | 新・判例解説Watch |
巻 | 18 |
出版ステータス | 出版済み - 2016/04 |
キーワード
- 公金支出
- 泡瀬干潟埋立