抄録
【目的】介護老人保健施設の看護師と介護職を対象に、3ヵ月間"転倒予防連携プログラム"を用いた介入を行い、非ランダム化並行群間比較試験により、転倒予防及びInterprofessional work(IPW)の意識変化への効果を明らかにすること。【方法】介護老人保健施設千木町ケアセンターの2病棟に勤務する看護師と介護職を対象に、病棟単位で介入群(24名)と、通常の転倒予防ケアを行う対照群(36名)に割り付け、アウトカムを測定し、群間比較を行った。主要アウトカムは、転倒予防及びIPWの意識変化、副次的アウトカムは、チームワーク行動を測るチームの志向性尺度及び、チーム・プロセス尺度とした。プログラム内容は、以下の8つである。1)多職種によるチーム員の形成、2)施設の転倒予防目標の明確化、3)転倒予防・IPW・Interprofessional education(IPE)に関する教材の開発、チーム員による研修会の開催、4)チーム員による施設課題の明確化、5)チーム員による解決策の提案、6)チーム員による相談サービスの定着化、7)参加者による転倒予防介入計画の立案と実施、8)転倒発生時は、根本原因分析にてシステムや組織の見直し。データ収集は、ID番号を付した無記名自記式質問紙を使用し、介入前後に留め置き法にて回収した。病棟介入期間は、2011年12月〜2012年2月であった。【結果】転倒予防に関する意識変化では、知識の増加、具体的や的確な判断、適切な実践の項目で、改善を認識した者の割合が、介入群で有意に高かった。IPWの意識変化では、コミュニケーションの増加、転倒予防に関する発言の増加、転倒予防意識の共有可能の項目で、改善を認識した者の割合が、介入群で有意に高かった。チーム・プロセス尺度では、知識と情報の共有の項目で、変化量が介入群で有意に高かった。チームの志向性尺度では、両群に有意差はみられなかった。転倒予防及びIPWの意識変化と、研修会やカンファレンスとの関連では、「知識の増加」「具体的や的確な判断」「適切な実践」「転倒予防に関する発言」の増加、同じ目的で入所者にアプローチの項目で、「中等度〜強い相関(r=0.400〜0.814)」がみられた。【結論】本プログラムは、介護老人保健施設の看護師と介護職の、転倒予防及びIPWの意識変化に効果的であることが示唆された。
本文言語 | 日本 |
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ページ(範囲) | 35 |
ページ数 | 44 |
ジャーナル | 日本転倒予防学会誌 |
巻 | 6(3) |
出版ステータス | 出版済み - 2020/03/10 |