そこで研究期間内に、(1)鍼刺激方法による効果の評価法確立、(2)鍼刺激方法の違いの解明、(3)治療目的に最適な方法の検討、を行う。そして、エビデンスに基づく治療法選択の実現に道を拓く。
本研究の目的は、鍼治療の刺激方法の治療に於ける意義の科学的解明である。我々は、これまでにフェムト秒レーザー鍼と切皮刺激の比較で、治療後の刺激部位の組織形態が類似しているにも関わらず、骨格筋でのミオスタチン遺伝子発現への影響が真逆になる事を見出した。そこで、様々な鍼刺激方法が引き起こす生体反応の違いを比較解析した。血清クレアチンキナーゼ活性は、単刺群が他群に比べて有意に高値であった。骨格筋ミオスタチンの遺伝子発現は、コントロール群と比較し単刺群、鍼通電群、フェムト秒レーザー群で有意に低かった。これらの結果は、異なる鍼刺激方法が多様な生体反応を引き起こす可能性を示した。
本研究では、様々な鍼刺激方法が生体に及ぼす影響を明らかにするため、麻酔下マウスの下腿部に様々な鍼刺激を行い、血清クレアチンキナーゼ活性と骨格筋ミオスタインの遺伝子発現を指標として比較解析した。マウスの系統や解析手法を同一することで、様々な鍼刺激方法の生体反応についてより正確な解析が可能となった。そして、伝統医学として我が国で発展してきた鍼刺激方法を網羅的に解析することにより、これらの刺激方法の違いを明らかにすることは意義深い。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2019/04/01 → 2022/03/31 |
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