視交叉上核の概日時計における日長認識のメカニズム解析

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

哺乳類の概日時計は視交叉上核に存在し、日暮れと夜明けのそれぞれを認識する2つ振動体を持つ。この2つを使って日長の変化を識別すると考えられるが、そのメカニズムは不明である。視交叉上核における時計遺伝子の発現リズムには、隣り合う細胞が段階的にピークを迎える位相波が存在する。位相波の進行速度は日長と相関することから、日長認識に位相波が重要な役割を果たすと考えられる。本研究では、まず発現遺伝子の網羅解析やコネクトーム解析を通して位相波形成メカニズムを明らかにし、その結果をもとに、動物が日長を認識するメカニズムを解明する。その成果は、その発症に日長が関与する気分障害などの予防・治療法の開発につながる。

研究成果の概要

概日時計は、生物が自然環境の変化を予測し、生体環境を整えるために非常に重要な生理機能である。夜行性の動物は、夕方から活動を開始し、朝には活動を終了する。この開始と終了は別の概日振動体が制御すると考えられているが、そのメカニズムには、未だ不明な点が多い。本研究では、朝と夕を認識する概日振動体が、どのような仕組みで昼の長さを認識し、活動期の長さを保つのか明らかにするために、時計遺伝子に変異を持つマウスを用い、活動リズムや時計遺伝子発現リズムなどを解析した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

概日リズムの乱れは、心身の健康に影響を及ぼすことから、大きな社会問題となっている。特に、本来暗いはずの夜間に光にさらされることで、睡眠の質の低下や就寝・起床時刻の後退が引き起こされ、社会生活に支障をきたすことも広く知られるところである。しかし、現代社会において、真っ暗な夜を過ごすように人々に求めることは難しい。すなわち、うまく光と付き合うことが必要である。本研究では、動物モデル用い、光、概日時計、そして活動リズムの間の未解明部分に迫り、現在社会の問題解決に資する知見の獲得を目指した。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/04/012023/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,420,000

キーワード

  • 概日時計
  • 視交叉上核
  • 振動体
  • 位相
  • 日長
  • 活動期
  • Clock変異マウス
  • 位相波
  • 発光レポーター
  • 時計遺伝子