研究代表者は,従来近代日本の地域を復原し,地域形成の原因と過程を分析し説明する「新しい歴史地誌学研究」に,取り組んできた。その基本的研究視角は,「特別な人間主体」という独自概念を含む実在論や構造化理論のような社会理論である。本研究課題では,事例地域の都市発展に関わる重大事象を取り巻く状況に注目し,近代日本の歴史地誌学研究における社会理論のアプローチの有効性を立証することに加え,複雑性理論(アクターネットワーク理論)に依拠した地域形成過程(歴史地誌)の復原・分析・説明を試み,その有効性を検証する。この二つのアプローチによる知見の比較・検討により,より有効な近代歴史地誌モデルの構築を目指す。