当該研究課題では、高分子材料-水界面の水分子の動態評価により、生体適合性の発現機序を解明できるのではないかという考えの基、高分子表面の水分子の挙動について階層的に調査するとともに、そこでの知見を踏まえ、生体に優しい材料の創製に関する研究を進めてきた。その結果、抗血栓性材料に含まれる水の低温再結晶化が、収着した水分子の拡散機構に支配されていること、また、「材料の生体適合性」と「材料-水界面の水の構造を乱さないこと」には強い相関があることを立証した。それらの知見を踏まえ、高分子被覆による「生体物質のパターニング材料の創製」「骨再生材料の高機能化」「生体適合性ゲル材料の創製」に関する成果を挙げた。