日本列島に棲息したオオヤマネコに関する学際的調査・研究

  • 佐藤, 孝雄 (PI)
  • 澤田, 純明 (CoPI)
  • 澤浦, 亮平 (CoPI)
  • 米田, 穣 (CoPI)
  • Kawamura, Ai (CoPI)
  • 鈴木, 敏彦 (CoPI)
  • 増田, 隆一 (CoPI)

プロジェクトの詳細

説明

Outline of Research at the Start

縄文時代晩期まで日本列島に棲息していたとみられるオオヤマネコについて多角的かつ領域横断的な調査・研究を行う。動物考古学、古生物学、生物系統地理学、考古科学の手法を駆使し、申請者の管理下にある青森県尻労安部洞窟、岩手県獺沢貝塚、愛媛県上黒岩岩陰遺跡の出土遺体などを精査。放射性炭素年代も測定しつつ、古代DNA(aDNA)解析や炭素・窒素安定同位体分析も試みることで、同種の系統や生態を明らかにするとともに、その絶滅要因についても知見を深める。

Outline of Annual Research Achievements

2021年度の研究実績は以下の通りとなる。(1) 茨城県つくば市上境旭台貝塚、千葉県印西市馬場遺跡第5地点、神奈川県横須賀市吉井第一貝塚、鹿児島県いちき串木野市市来貝塚から出土したオオヤマネコ遺体群を所蔵機関より借用、肉眼による観察と計測、高精細撮影を実施し、マイクロCTによる三次元データを取得。それぞれ精巧なキャストを製作した。(2) うち上境旭台貝塚出の右大腿骨、馬場遺跡第5地点の左右側頭骨鼓室部、市来貝塚の左橈骨1点からは、所蔵機関の許諾を得て、必要な試料を採取し、放射性炭素年代測定、安定同位体比による食性解析、aDNAによる系統地理解析も進めた。既に得られた14C年代の測定結果から、上境旭台の遺体は縄文時代後期、馬場遺跡第 5地点、市来貝塚の遺体は縄文時代晩期の資料であることが確認された。数値年代を踏まえ、縄文時代晩期までオオヤマネコが本州から九州に至る広範囲な地域に生息していたことを明らかにし得た意義は大きい。(3) 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たに同種遺体を得るべく夏季に予定していた青森県下北郡東通村尻労地区での発掘調査は中止せざるを得なかったが、次年度の実施を目指すべく、関係機関との交渉を進めた。(4) 8月にはオンラインで開催された日本哺乳類学会2021年度大会で、「絶滅した日本オオヤマネコの学際的調査・研究」という題目で口頭発表を行い、本研究プロジェクトで計画されている調査・研究の計画とその意義を説明した。(5)本研究プロジェクトの成果を海外発信すべく、 ICAZ(International Council for Archaeozoology)の大会に参加、発表を行うための準備も進めた。

ステータス終了
有効開始/終了日2021/04/012025/03/31