抗炎症性サイトカインの遺伝子療法による関節リウマチの関節破壊抑制の試み

  • 杉山, 英二 (研究代表者)
  • 岸, 裕幸 (研究分担者)
  • 村口, 篤 (研究分担者)

プロジェクトの詳細

研究概要

関節リウマチは関節を主座とする慢性炎症性疾患であるが、長年の経過により関節破壊が進行し、日常生活機能が傷害されることから、関節破壊の予防薬の開発が望まれている。この関節破壊には関節局所における破骨細胞が中心的な役割を担っており、破骨細胞の増殖、分化、活性化を抑制する薬剤が抗リウマチ薬としで有望である。本研究ではマウス骨髄細胞を用いてRANKLによる破骨細胞誘導における各種薬剤の作用について検討した。この結果、抗炎症性サイトカインであるIL-4,IL-10が破骨細胞の分化、誘導を抑制すること、またその機序として破骨細胞分化に必須の転写因子であるAP-1、特にc-Fosの発現抑制を介することを明らかにした。また、この結果からIL-4遺伝子療法の可能性をさぐるため、IL-4組み込みアデノ随伴ウイルネ(AAV-IL-4)を作成し破骨細胞に対する効果を検討し、AAV-IL-4はヒト単球の破骨細胞の誘導を強力に抑制することを明らかにし、関節局所におけるAAV-IL-4療法の可能性を示した。さらに最近、新規抗炎症薬として注目されているPPARγアゴニストがTNFαによるヒト単球からの破骨細胞誘導に対して抑制効果があること、その抑制効果には単球走化因子1(MCP-1)の発現抑制が関与していることが明らかにした。この成果は日本リウマチ学会総会、日本骨代謝学会総会にて発表し、英文誌Boneに論文として報告した。破骨細胞の分化を負に調節する薬剤は関節リウマチの骨吸収に対して有効性を発揮する可能性がある。AAV-IL-4およびPPARγアゴニストのリウマチ患者にとって新たな治療法となる可能性がある。
ステータス終了
有効開始/終了日2005/01/012006/12/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,400,000

キーワード

  • 関節リウマチ
  • 破骨細胞
  • c-Fos
  • アデノ随伴ウイルス
  • インターロイキン-4
  • インターロイキン-10
  • PPARγ
  • TNFα
  • インターロイキン4
  • 遺伝子療法
  • Rheumatoid arthritis
  • osteoclast
  • adeno-associated virus
  • interleukin-4
  • Interleukin-10
  • PPARγ agonists