前頭極への経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるパーキンソン病の新しい治療法の開発

  • 石黒, 幸治 (研究代表者)
  • Nishijo, Hisao (研究分担者)
  • Noguchi, Kyo (研究分担者)
  • Nakatsuji, Yuji (研究分担者)
  • 小西, 宏史 (研究分担者)
  • Dogu, Nobuhiro (研究分担者)
  • Yamamoto, Mamoru (研究分担者)

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

パーキンソン病(PD)は、脳内のドパミンが枯渇することで振戦や固縮・無動といった運動症状だけでなく、認知機能や注意力の低下など非運動症状も来す代表的神経変性疾患である。近年増えつつある微弱な電流を用いた経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)は非侵襲性で、多彩なPD症状の改善に有効であるとされる。しかし、改善のメカニズムは解明されていない。本研究では、PDに対するtDCS療法の効果を生理学的側面からも検証することで、同療法のより効果的なプログラムの開発と患者へのフィードバックに繋げ、リハビリテーション医学の発展に寄与する。

研究成果の概要

パーキンソン病患者の認知運動機能障害に対する経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)の有効性を検証した。tDCSの刺激部位は前頭極(陽極)と視覚野(陰極)とし、1.0mA × 900秒間、合計10回行った。tDCS刺激前後の運動機能をUPDRSとTUG、認知機能をMMSEとTMTにて評価した。さらに生理学的変化は中脳黒質緻密部内のニューロメラニンを指標に評価した。その結果、tDCS療法は運動機能だけでなく非運動症状も改善させ、中脳黒質緻密部内のニューロメラニン量を増加した。ただし、tDCSやニューロメラニンの解析手法に確立されたものはなく、今後さらなる検証が必要である。

研究成果の学術的意義や社会的意義

tDCSを併用したリハビリテーションを2週間行うだけで、① パーキンソン症状は改善し、② ドパミンが増加することが推察された。これまでは動物実験でドパミンの増加を示唆する研究はあったが、患者でも同様の変化が得られる可能性があったことは学術的・社会的意義は大きい。ただし、tDCS刺激条件やドパミンの解析方法に確立されたものはなく、今後はさらなる検証が必要であることが分かった。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/04/012022/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,900,000

キーワード

  • パーキンソン病
  • 経頭蓋直流電気刺激
  • 中脳
  • 黒質
  • ドパミン
  • 歩行
  • バランス
  • 認知機能
  • ニューロメラニン
  • 運動症状
  • 非運動症状
  • 中脳黒質
  • リハビリテーション
  • すくみ足
  • 大脳基底核
  • 前頭前野
  • 運動関連領野