分子シミュレーション解析と数理モデルによる肺がん分子標的薬の薬効予測の研究

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

近年、薬物有害反応(副作用)や薬物感受性(薬効)と薬剤標的分子の遺伝子変異との関連が明らかになりつつあり、例えば、肺がん分子標的薬は変異型上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子検査結果に基づいて投与される。しかし、これまでに報告されたがん細胞でのEGFRの遺伝子変異では、一部を除きその薬物感受性は不明のままである。本研究では、肺がん分子標的薬と各変異型EGFRとの分子シミュレーション解析とその数理モデル化により薬効予測を可能にすることを目標とし、将来的には安全かつ効率的な薬剤投与の実現を目指す。

研究成果の概要

薬剤感受性(薬効)は、薬剤標的分子の遺伝子変異と関連することが知られている。本研究では、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする、肺がん分子標的薬(EGFR-TKI)のゲフィチニブを対象に、EGFRの各変異型との薬物相互作用を分子シミュレーション解析により再現し、各変異型の薬物感受性に関わる特徴を解明した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究の学術的意義は、肺がん細胞で新規変異体の発見が続くEGFRに対して抗がん剤を選択する可否の判定を実現する手段を提供する点である。東アジアにおけるEGFR変異の頻度は高く、科学的な効果予測因子として認識されている。また、本研究の解析方法は、あらゆる分子標的薬の評価や創薬にも応用可能である。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/04/012022/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,290,000

キーワード

  • 分子シミュレーション
  • 薬効予測
  • 数理モデル