マイクログリアのM2化によるアルツハイマー病根本的治療法の開発

プロジェクトの詳細

研究成果の概要

アミロイドβは、マイクログリアをM1化して炎症および神経変性を誘発する。一方、マイクログリアには抗炎症性・組織修復性のM2がある。我々は以前、HDAC3阻害剤RGFP966がマイクログリアをM2化し、軸索伸長を誘発することを報告した。そこで本研究は、in vivoおよびin vitroのアルツハイマー病モデルに対するRGFP966の作用を検証することを目的とした。その結果、RGFP966はアミロイドβによってM1化したマイクログリアをM2化させ、因子Aの分泌を促進し、変性軸索を正常化することにより、アルツハイマー病モデル5XFADマウスの記憶障害を回復させることが示された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

アルツハイマー病が難治性である原因は、発症時には既に脳内に多くのアミロイドβが沈着し、神経回路網の破綻が生じているためだと考えられている。本研究成果は、HDAC3阻害剤RGFP966が、変性軸索正常化因子・因子Aを分泌し、変性した脳内の神経回路網を再構築することにより、抗アルツハイマー病作用を示したと考えられる。本研究は新たなアルツハイマー病治療法の開発に繋がるものであると考える。
ステータス終了
有効開始/終了日2018/04/012021/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,420,000

キーワード

  • アルツハイマー病
  • マイクログリア
  • 軸索
  • HDAC3
  • アミロイドβ
  • 軸索変性
  • 記憶障害
  • M2
  • M2マイクログリア
  • 記憶改善