Abstract
物語では直接性が間接的に構築される「置換された直接性」が基本であり、両義的な自由間接話法は物語の常態である。反復と逸脱の両義性を持つ村上春樹「バースデイ・ガール」においてはエコー発話が重要な技法となる。エコーは同意/アイロニーの両義性を持つからである。エコーに注目することで、二十歳の彼女と老人との対話だけでなく、「僕」と彼女との会話にも両義性が見られるが、現れ方の違いが二人に不和をもたらしている。
Translated title of the contribution | Echo and Humor: Haruki Murakami's “Birthday Girl” |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 47-55 |
Number of pages | 9 |
Journal | 日本文学 |
Volume | 66 |
Issue number | 1 |
DOIs | |
State | Published - 2017/01/10 |