脳の知的機能に関与するかもしれない新規単離因子Vof-21の分子生理学的基礎研究

  • 東田道久 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

慢性虚血初期のラット脳中で発現上昇する因子としてdifferential display法によりクローニングされたvof-21(AB089205)は、知的機能と関連することが予想される。またmRNAが青斑核に多く分布することからノルアドレナリン神経系との関連も推定される。しかしながらその詳細は不明である。本研究では、生理機能を解明する手がかりを得ることを目的とし、種々の検討を行った。機能を解明するためには、ゲノム情報との照合が有効である。Vof-21は、ラット第5染色体上に存在したが、第1染色体上にも相同性の高い部分があり、嗅覚が関与するフェロモン受容体配列との相同性も高かった。またvof-21は詳細に解析するとラットに特異的であった。このことより進化論的視点も合わせると、vof-21は嗅覚に関連する因子と推定された。嗅覚異常はヒトの場合でも認知症の初期症状として注目されている。嗅覚関連因子の発現制御機構の解明に認知症治療のカギが隠されているかも知れない。さらに本研究課題ではvof-21の機能解析のための遺伝子導入法やリアルタイム細胞機能解析の基礎的知見も得た。Vof-21に関する確信的知見を得るには至らなかったが、本研究課題遂行により、嗅覚遺伝子の発現制御機構が知的機能と関連する可能性のあることを見出し、それを解析する手法を得ることができた。今後継続してvof-21を含めた嗅覚系因子の発現制御機構ならびにそれの知的機能との関連性(たとえばシナプス形成とその維持等に関する視点)についての検討を志向する。なお、vof-21全体に関する知見は現在論文にまとめている。
StatusFinished
Effective start/end date2007/01/012009/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,100,000.00

Keywords

  • 記憶学習
  • 遺伝子発現
  • 発現制御解析
  • フェロモン受容体
  • 神経分化
  • cRNA
  • 嗅覚
  • ゲノム解析
  • SiRNA
  • fms
  • 卵母細胞
  • 電気生理