臨床報告 視床痛に対する漢方治療の試み

後藤 博三, 藤本 誠, 渡辺 哲郎, 引網 宏彰, 小尾 龍右, 野上 達也, 永田 豊, 柴原 直利, 嶋田 豊

研究成果: ジャーナルへの寄稿学術論文査読

抄録

視床痛は視床出血や視床梗塞後に伴う難治性中枢性疼痛として知られている。しかし,薬物療法や外科的治療法が試みられているが確実な治療法がない。我々は難治性の視床痛6例に漢方治療を試み,症状の軽減した4例を経験した。症例は年齢27才から70才の男性4例,女性2例であった。診断は右視床出血3例,左視床出血1例,右視床梗塞2例で,発症後から漢方治療までの期間は6カ月から12年と幅があった。改善した4例では症状がほぼ消失から4割程度減弱した。改善例は全例,烏頭・附子含有方剤が用いられていた。抑肝散加陳皮半夏が精神症状の強い2例で有効であった。また,駆瘀血剤のみで十分改善を認めた症例もあった。症状が長期にわたる症例では,有効例でも症状は残存した。さらに難治例は症状が固定しており,強い麻痺等を伴う症例であった。
寄稿の翻訳タイトルTrial of the Treatment of Kampo Medicines for Thalamic Pain
本文言語日本
ページ(範囲)189-197
ページ数9
ジャーナル日本東洋医学雑誌
61
2
DOI
出版ステータス出版済み - 2010
外部発表はい

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