抄録
症例は8歳の女児。末梢血にて汎血球減少を認め,日本小児血液学会の中央診断システムにて小児不応性血球減少症(refractory cytopenia of childhood ; RCC)と診断された。標準的な免疫抑制療法が行われたが無効であり,頻回の赤血球輸血および血小板輸血を必要とするため骨髄移植が予定された。当院小児科入院8ヵ月後に漢方治療が開始され,加味帰脾湯エキスと芎帰膠艾湯エキスの投与により徐々に汎血球減少症は改善し,2ヵ月後には赤血球輸血を中止し,3ヵ月後に血小板輸血も不要となった。その後も順調に汎血球減少は改善し,16か月後にはほぼ正常化し,骨髄移植は中止された。加味帰脾湯,芎帰膠艾湯のRCC に対する作用機序は明らかでなく,その有効性も未知である。しかし,漢方治療は低侵襲性で安価であり,副作用も少ないことから,標準治療への反応が悪いRCC に対して積極的に試みるべき治療法であると考える。
寄稿の翻訳タイトル | A Case Report of Successful Treatment with Kamikihito and Kyukikyogaito for Refractory Cytopenia of Childhood |
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本文言語 | 日本 |
ページ(範囲) | 178-183 |
ページ数 | 6 |
ジャーナル | 日本東洋医学雑誌 |
巻 | 69 |
号 | 2 |
DOI | |
出版ステータス | 出版済み - 2018 |
外部発表 | はい |