薬物-メソポーラスシリカ複合体は、メソサイズの細孔(2-50 nm)に低分子の薬物を内包させた固形製剤であり、薬物の溶解性を著しく向上させるため、次世代の製剤として期待されている。しかし、内包された薬物の放出メカニズムを、その場(in situ)で解析した例はなく、その全容は解明されていない。そこで本研究では、時間領域-核磁気共鳴(TDNMR)法の応用で、薬物-メソポーラスシリカ複合体のNMR緩和を測定する。そして、測定したNMR緩和を活用して、メソポーラスシリカに内包された薬物の結晶形・吸着サイトが、放出プロセス中にどのように変化するかを、in situで解析する。