microRNAに着目した川崎病冠動脈瘤における血管微小粒子の役割解明と新薬開発

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

川崎病急性期における血管内皮細胞傷害という側面から、我々が同定したCAL症例のEMPsに内在する特異的な2種類のmicroRNA(microRNA-145-5p, microRNA-320a)を用い、Ⅰ.ヒト単球/マクロファージ細胞を用い、CAL症例に特異的なmicroRNAがターゲットする遺伝子群の発現実験を行い、CAL形成に関わる機序を明らかにし、Ⅱ.CAL症例患者のiPS細胞を樹立し血管内皮細胞へ誘導後、遺伝子発現の違いによる刺激実験を行う。さらに、Ⅲ.この特異的なmicroRNAの川崎病急性期における冠動脈病変内での局在を同定し、川崎病急性期におけるCAL形成の病因を解明する。

研究成果の概要

川崎病の病態が全身の血管炎であることから、血管内皮細胞傷害で遊離される血管微小粒子(Endothelial microparticles (EMPs))に着目し、EMPsが川崎病罹患後に冠動脈が拡張する患者を予測する鋭敏なバイオマーカーとなり、川崎病罹患後の冠動脈病変を有する患者において急上昇するEMPsに内在する2種類の特異的なmicroRNA(microRNA-145-5p, microRNA-320a)を同定した。さらに、in silico解析および単球/マクロファージの細胞実験において、この2種類のmicroRNAが川崎病急性期の冠動脈病変の形成に重要な役割を果たすことが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

国内外での研究動向は、川崎病急性期に血小板由来のMPsが上昇することを明らかにした論文も散見されるが、川崎病の病態となる全身性の中小動脈血管炎との関連は示されておらず、未だにCAL形成の病因/病態を明らかにするまでには至っていない。そこで我々は、川崎病急性期における血管内皮細胞傷害という側面から、我々が同定したCAL症例のEMPsに内在する特異的な2種類のmicroRNAを用い、この特異的な2種類のmicroRNAの局在と機能を解明し、CAL形成に関わるカスケードの解明およびCAL症例の早期診断かつ新たな治療法を開発することは極めて有意義であり、臨床応用に大いに期待できると考えている。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/08/302021/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥2,860,000

キーワード

  • 川崎病冠動脈瘤
  • 血管微小粒子(EMP)
  • microRNA
  • 血管微小粒子
  • microparticle
  • Kawasaki Disease
  • Coronary Artery Lesion
  • 川崎病急性期
  • 冠動脈病変(CAL)