IL-5を起点とした非IgE依存的アレルギー性鼻炎発症機序の解明

  • Terumi, Yamazaki-Nagai (研究代表者)
  • Tsuchida, Akiko (研究分担者)
  • 努, 柳橋 (研究分担者)

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

アレルギー性鼻炎においては、即時型反応に免疫グロブリンE(IgE)が関与しない経路が存在することが報告されているが、その発症機序は未解明である。本研究では、IL-5を起点とした非IgE依存的アレルギー性鼻炎の発症機序解明のため、①IL-5産生ILC2と三叉神経の相互作用についてマウスモデルで明らかにし、②さらに環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者に対し追加調査を実施し、小児におけるアレルギー性鼻炎へのIL-5の関与についての疫学的解析を行う。本研究の進展は、アレルギー性鼻炎の新規治療薬開発のみならず疾病予防にも貢献すると考えられる。

研究成果の概要

アレルギー性鼻炎においては、即時型反応に免疫グロブリンE(IgE)が関与しない経路が存在することが報告されているが、未解明である。本研究では、IL-5を起点とした非IgE依存的アレルギー性鼻炎の発症機序解明のため、マウスモデルおよび小児のコホート解析を行った。マウスモデルにおいて、経鼻投与されたパパインにより産生増大したIL-5が橋の神経活性化マーカーの発現に関与していることが示唆された。また、314名の6-7歳小児から採取した唾液において自然型アレルギーと関連すると考えられるIL-5を解析した。その結果、唾液IL-5はアレルギー性鼻炎および花粉症診断の有無とは関連が認められなかった。

研究成果の学術的意義や社会的意義

神経原性炎症として知られるアレルギー性鼻炎において、IL-5が神経に作用することにより発症に関与しているという報告はなく、IL-5産生ILC2と三叉神経との相互作用は不明であった。本研究により、パパイン投与によってくしゃみをしているマウスの鼻粘膜で増加するIL-5産生ILC2と三叉神経との関連が示唆された。一方、ヒト小児の唾液においては、アレルギー性鼻炎の診断および症状の増悪とIL-5の関連はみとめられなかったが、IL-10の値が高いほど症状が軽い傾向がみられた。アレルギー性鼻炎においては、唾液中のIL-10産生を低下させないことが症状の緩和に重要な役割を果たす可能性がある。
ステータス終了
有効開始/終了日2020/04/012024/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,420,000

キーワード

  • アレルギー性鼻炎
  • IL-5産生ILC2
  • 唾液
  • 唾液細菌叢
  • 唾液中サイトカイン
  • スギ花粉症
  • 自然型アレルギー
  • コホート研究
  • 唾液サイトカイン
  • IL-5
  • 花粉症
  • ILC2
  • 神経
  • 小児コホート研究
  • 非IgE依存的アレルギー性鼻炎
  • 前向きコホート研究