高齢化社会の進展に伴い,脳疾患のために歩行が障害され転倒する危険の高い患者さんが増えています.転倒リスクが高い凹凸のある床面を歩く時には,高次運動野(ヒトでは大脳の前頭葉に複数存在します)による視覚に基づいた歩行の制御が重要と考えられています.本研究では高次運動野の各部位の障害が引き起こす歩行障害のパターンを動物実験で特徴づけ,高次運動野に着目した新たな歩行リハビリテーション法を開発するための基礎的な知見を得ることを目指します.
(2)の解析は現在進行中ですが,4delta野を薬物で一時的に不活性化した結果,運動失調が複数肢に及ぶ傾向を認め,(1)の見方を裏付けると期待されます.
本研究で得られた知見は脳障害に起因する歩行障害の病態生理学的機序についての理解を深め,高次脳機能に着目した障害部位特異的な歩行リハビリテーション法を開発する礎となりました.更に,物に対して手を伸ばすといった「単発の運動」の制御という枠内で機能を特徴づけられてきた高次運動野(PMC)に,歩行運動の制御という異なった角度からアプローチを行い,PMCによる運動一般の制御機構の包括的な理解を促しました.
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2020/01/01 → 2022/12/31 |
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