転写因子ATBF1およびZFH4の正常発達ラット中枢神経系における発現解析

  • Sakata, Nobuo (PI)
  • Sasahara, Masakiyo (CoI)

プロジェクトの詳細

説明

ATBF1は、α-fetoprotein enhancerの結合蛋白として分離された転写因子であり、複数のzinc finger motifとhomeodomainをあわせ持つ事を特徴とするZFH/ATBF1転写因子ファミリーに属するる。種々の細胞分化制御への関与が違われており、mRNA発現解析から、神経組織における役割を示唆する研究が蓄積されつつある。しかしながら、脳における役割は全く明らかにされていない。そこで、1.平成14年度はATBF1特異抗体を作成し、正常rat発達脳における、ATBF1発現を明らかにした。ATBF1は、発達脳の時期および部位により様々な程度の発現を示したが、特に、胎生期脳の菱脳から中脳を主として、神経細胞の分化に伴って発現することを見いだした。他方、発達期を通じて、大脳皮質、海馬等では、ほとんど発現が見られない。従来の他からの報告とともに、ATBF1が領域特異的な神経組織の分化や、神経細胞の成熟に関与することを示す結果を得た。2.平成15年度は、ATBF1と類似性の高いZFH4に対する特異抗体を作製し、発達脳に於ける発現解析を行うとともに、ヒト脳cDNA libraryよりYeast Two-Hybrid Systemを用いてATBF1と相互作用する蛋白質cDNAの分離を試みた。11個の候補遺伝子のうちJAK-STATシグナル伝達系で抑制的に作用するPIAS3について詳細な解析を行い、in vitroおよびin vivoの免疫沈降法でATBF1との相互作用を確認した。STAT3結合部位を含むルシフェラーゼ遺伝子を用いるレポーターアッセイでは、IL6刺激下でPIAS3の抑制作用をATBF1が増強する事が確かめられた。ATBF1単独ではSTAT3に対する抑制作用は認められない。現在、正常rat発達脳におけるZFH4発現解析実験を完成させる実験を行っており、ZFH/ABF1転写因子ファミリーの脳発達に於ける総合的理解を目指して研究を遂行している。
ステータス終了
有効開始/終了日2002/04/012004/03/31

フィンガープリント

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