血液粘弾性は脈管機能低下の血行力学的要因として注目される.生活習慣病に至る前の未病,疾患,術前後の血液粘弾性の揺らぎを非侵襲かつ定量評価する超音波計測システムの開発を目指し,本研究において解析手法の最適化,そのために必要な生体条件を模した血液性状制御法および流路循環システムの高機能化を行う.学術的問いである「血液からの超音波エコー信号の性質はどのような血液状態を反映しているか」を実験的検証により示す.任意の流れ場や圧力条件を詳細に制御し,生化学的応答が異なる多種の血液サンプルに対して赤血球の形態情報や流場挙動の違いを超音波エコー信号の特徴から捉えることができれば,血液粘弾性計測が可能になる.