プロジェクトの詳細
研究成果の概要
カップルの双方が暴力をふるう親密な関係における双方向の暴力に着目し,その日本における実態と,発生や維持・深刻化過程の検討を行った。半年間隔で3回の縦断調査を実施した結果,被害経験のみや加害経験のみといった一方向の群に比べ,カップルの双方が暴力をふるう双方向群の割合が多いことが明らかとなった。また,一方向の群は時間の経過とともに被害・加害経験が減るのに対して,双方向群では被害・加害経験が維持されやすく,被害・加害経験の頻度も一方向の群より高いことが明らかとなった。さらに,カップル間における統制感や葛藤解決方略が後のIPV被害・加害経験に影響を与えることが明らかとなった。
研究成果の学術的意義や社会的意義
親密な関係における暴力(IPV)に関して,海外の研究では双方向の暴力が多く深刻度が高いと指摘されているにも関わらず,日本では双方向のIPVを想定した研究はあまり行われていなかった。本研究によって,まず双方向の暴力を測定することの出来る尺度が開発され,次に双方向のIPVが一方向のIPVと異なる特徴を有することが明らかにされた。さらに,縦断的検討で加害・被害につながる要因がいくつも明らかにされた。本研究で得られた知見は,今後の予防のための心理教育プログラム等の開発にも寄与しうると考えられる。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2018/04/01 → 2021/03/31 |
資金調達
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,290,000
キーワード
- 親密な関係における暴力
- IPV
- 発生・維持過程
- 深刻化過程
- 縦断的調査
- 双方向暴力
- 縦断的検討