本研究は,親密な関係における暴力(Intimate Partner Violence: IPV)の維持・深刻化過程を明らかにすることが目的であった。研究1では,身体的暴力,心理的暴力,性的暴力の3つの尺度から成る,様々な深刻度のIPV行為の被害経験を包括的に測定しうる尺度を作成した。研究2では,維持・深刻化過程を明らかにするために縦断調査を実施した。その結果,交際関係が継続している場合は行われていたIPV行為が維持されやすいこと,心理的暴力の中でも特に人権を侵害するような言動や,相手の言動を監視するような行為は他のIPV行為を引き起こしやすいことが明らかとなった。