血小板P2Y受容体ヘテロ多量体は敗血症病態形成の新たな創薬標的となるか?

  • 鈴木, 登紀子 (研究代表者)

プロジェクトの詳細

研究成果の概要

敗血症進行過程で播種性血管内凝固が発症すると予後不良となるが、その発症に関与する血小板の活性化にはP2Y1受容体、凝集にはP2Y12受容体が働いている。申請者はこれら受容体間でのヘテロ多量体形成を報告した。抗血小板薬であるP2Y12受容体遮断薬は、敗血症の症状緩和にも効果があることが示唆されている。本研究では、新たな敗血症治療創薬の突破口を開くため、敗血症病態におけるP2Y1-P2Y12受容体の関係を解析した。ヒト血小板前駆体細胞において、炎症刺激や抗血小板薬添加でこれらの受容体発現制御を発見した。またその研究過程で派生した、肺微小血管内皮細胞の炎症刺激誘発性シグナル伝達変化の論文を発表した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

敗血症の患者数は世界で年間約2700万人であり、そのうち約800万人が死亡していると報告されている。特に進行の過程で血小板の活性化を促進することが引き金となって播種性血管内凝固症候群(DIC)が発症し、全身性炎症症状の激化につながることが知られている。本研究により、血小板活性化や凝集能に大きく関係するP2Y1、P2Y12受容体の発現がヒト血小板前駆体由来細胞において炎症刺激や抗血小板薬によって制御されていることが初めて明らかになった。これは、効果的な治療法のないDICに対する創薬の第一歩となり、学術的、社会的意義は大きい。
ステータス終了
有効開始/終了日2016/04/012019/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,030,000

キーワード

  • 敗血症
  • シロスタゾール
  • P2Y受容体
  • 播種性血管内凝固症候群
  • 血小板膜受容体
  • P2Y1受容体
  • P2Y12受容体
  • 血小板
  • ヘテロ多量体