●上記の差分法の研究に引き続き,有限要素法による近似スキームの構成と,その解析を行った.Baba-Tabata型の上流有限要素近似を利用して,正値性保存と,質量保存性を再現する有限要素スキームを構成した.また,差分法の際にはまったく手付かずだった誤差解析にも成功した.上流化に意味を持たせるためには,誤差の$L^p$評価を求める必要がある.ただし,$pin(d,mu)$であり,$d$は空間次元,$mu$は領域の形状から決まる正定数である.$L^p$空間上での解析半群の理論,作用素の分数冪等を利用して,実際にその評価を導出した.その結果は,かなりsingularな解にも適用できるものである.