肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討

  • 劉, 建輝 (研究代表者)

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

心不全が注目されている中で、肥満心筋症の機序解明と根本的治療が望まれている。我々は脂肪組織での慢性炎症において中心的役割を果たしTgfβ1 の発現を介して心筋拡張障害の進展に寄与しうるM2 マクロファージが、肥満心筋症の病態成立において中心的役割を果たしているとの仮説を立てた。申請者の所属グループのみが有するCD206DTR遺伝子改変マウス対し高脂肪食負荷を加え、心筋の組織学的検討と末梢血管抵抗および心機能を経時的に評価しつつ任意のタイミングでCD206 の除去や増加を行うことで、肥満心筋症の病態の解明につなげるとともに、M2 マクロファージを標的にした治療の可能性を拓くことを目的とする。

研究成果の概要

本研究では肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討を目的とした。結論としてM2マクロファージは肥満心筋症の病初期の脂肪組織における血管増生と肥満心筋症の終末像である心臓での間質繊維化亢進に対し保護的に作用することが示唆された。また肥満心筋症の表現型である心臓での間質繊維化亢進の結果で生じる心筋肥大およびその終末像である心不全に対し、サルコメア遺伝子と線維化関連遺伝子の制御に通じて、保護的に作用し心不全治療の有望な治療標的になりうることが強く示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

M2マクロファージは肥満心筋症の病初期の脂肪組織における血管増生と肥満心筋症の終末像である心臓での間質繊維化亢進に対し保護的に作用することが示唆された。肥満心筋症の表現型である心臓での間質繊維化亢進の結果で生じる心筋肥大およびその終末像である心不全に対し、サルコメア遺伝子と線維化関連遺伝子の制御に通じて、保護的に作用し心不全治療の有望な治療標的になりうることが強く示唆された。本研究を通して学術的には “局所マクロファージ機能不全関連疾患”の概念が確立され、循環器医学・生物学に貢献するとともに社会的には局所マクロファージを標的にした治療の可能性が生まれ、臨床医学の発展に寄与することが期待される。
ステータス終了
有効開始/終了日2018/08/242020/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥2,990,000

キーワード

  • マクロファージ
  • 心不全
  • 心筋症
  • M2マクロファージ
  • 肥満心筋症