プロジェクトの詳細
説明
1.統合失調症の発症にα7ニコチン受容体遺伝子CHRNA7の変異が関与するかどうかを明らかにするため、日本人統合失調症患者100名および健常者100名を対象に、一塩基多型の解析を行った。群間でアレル頻度に有意差のある多型は認められなかったが、統合失調症患者のみに新規のミスセンス変異(G423S:423番目のグリシンをセリンに置換させる変異)を見出した。その変異受容体を人工的にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、機能変化を検討した結果、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤存在下でα7アゴニスト刺激を行うと変異受容体は特異的にリン酸化され、しかもその活性は異常に低下することを明らかにした。したがって、G423S変異に伴い、α7ニコチン受容体の脱感作がPKCを介して促進されると結論できた。2.機能の未知なヒトα7ニコチン受容体重複遺伝子CHRFAM7AのcDNAをクローニングし、発現および機能を解析した結果、培養細胞においてタンパクに翻訳され、α7ニコチン受容体と結合することにより、α7ニコチン受容体の活性を抑制することを明らかにした。3.統合失調症の治療および研究に有用な新規α7ニコチン受容体作用薬を開発するため、アフリカツメガエル卵母細胞にニコチン受容体の各サブタイプを発現させ、毒ガエルおよびホヤアルカロイドの薬効を解析し、α7受容体の選択的遮断薬としてアルカロイド205Bを見出した。4.α7ニコチン受容体刺激による遺伝子およびタンパク発現の変化を解析した結果、視床下部神経細胞における性腺刺激ホルモン放出ホルモンの発現や血管平滑筋細胞におけるα7ニコチン受容体数が増加することを明らかにした。以上のように、ヒトα7ニコチン受容体の機能低下を引き起こす遺伝子変異および重複遺伝子産物の存在を明らかにし、これらの異常が中枢神経疾患の発症を引き起こす可能性を示した。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2004/04/01 → 2007/03/31 |
フィンガープリント
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