生体膜は脂質二重層構造からなり、通常、膜の内層側に局在するホスファチジルセリン(PS)は細胞死(アポトーシス)の際に外側へ露出する。これにより、露出したPSをマクロファージが認識し、細胞を貪食する。このようなリン脂質の表裏間の移動(フリップフロップ)は膜タンパク質により制御されている。われわれは、リン脂質のフリップフロップを誘起する合成ペプチドを見いだした。この機能をさらに活性化できれば、特定の細胞をマクロファージによりクリアランスする技術を達成できる。本研究では、モデル脂質膜や培養細胞系でリン脂質フリップフロップを計測してペプチドの最適化を行い、この新しい細胞クリアランス技術の創成を目指す。