2)寄生根細胞が宿主細胞に接着し細胞間連絡を形成する過程で働く候補遺伝子をネナシカズラから単離し、寄生根形成過程における発現挙動を調べた。ネナシカズラ自身に寄生させた場合(寄生根は侵入するが、細胞間連絡が形成されない)とエンドウに寄生させた場合(寄生根の侵入後、細胞間連絡が形成される)での発現に違いが認められる遺伝子群をPCRサブトラクション法によってクローン化し、それらの塩基配列を決定した。その結果、種々の転写因子や酵素などのcDNAが得られた。これらの遺伝子発現様式をRT-PCRで解析し、ネナシカズラ自身に寄生させた場合とエンドウに寄生させた場合での発現レベルの違いが確認できるかを検討した。その結果、エンドウへの寄生で細胞間連絡ができる場合に、発現増加を示すものが2種、逆に発現低下を示すものが3種、同定できた。これらの遺伝子は、細胞間連絡の形成への関与の可能性が示されたものの、それぞれがどのように関与しているかは、今後解明すべき課題である。