ハイマツの伸長成長量は異なる山岳間においても同調して変動しており、経年的に増加傾向にあり、その要因の一つとして前年の夏の気温の変動が関係していること等が分かった。当年枝の伸長様式はロジスティック曲線で近似でき、前年の冬芽サイズに依存し、有効積算温度200℃・日までに約8割程度の伸長を示すことが明らかとなった。さらに、年枝伸長量と肥大成長量との関係は個体により様々であるが長期的な変動は類似していること、ハイマツ群落のリターフォール量も有効積算温度と正の相関関係にあること等が分かり、山岳上部に生育するハイマツの成長量から気候変動の影響を有効に検出・評価できることが分かった。