プロジェクトの詳細
研究概要
中国国内の臨床において、「春至の粒子」は婦人科で用いられている伝統薬の一つとして開発された。「春至の粒子」は拘杞子、地黄、桑椹、紅花を熱水抽出し、多糖とフラボノイドを分離・精製して得られた処方である。本研究はin vivo、in vitroの両観点から春至の粒子の薬理学的解析を行い、春至の粒子のEBMとしての科学的評価を行うことを目的とした。これまでに、in vitroでは春至の粒子に含まれる成分中にエストロゲン受容体との相互作用を示す成分は認められなかったことを明らかにした。しかし女性ホルモン依存性ヒト乳癌細胞MCF-7を用いた系において、春至の粒子は濃度依存的に弱い女性ホルモン様作用を示すことを確認した。また、成熟雌ラットより両卵巣を摘出したものを購入し、春至の粒子を経口投与した結果、エストロゲン様作用が認められた。さらに臨床において婦人科癌マーカーとして用いられているエストロゲン受容体αの抗体を用いて免疫組織化学染色を行ったところ、春至の粒子投与後のラット子宮では陰性であることを確認した。これらの結果を受けて、本年度は成熟雌ラットより下垂体を摘出し、春至カプセル投与後に卵巣のSteroidgenic Acute Reguratory Protein(StAR)、P450のmRNA発現量を定量した。下垂体摘出によって減少したStAR mRNA発現量は、春至カプセルの投与によって回復が見られた。P450 mRNA発現量も同様の結果を示した。以上の結果より、春至の粒子は女性ホルモン様作用を持つ一方で、女性ホルモン依存性の癌には影響を与えないことが明らかとなった。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2007/01/01 → 2009/12/31 |
資金調達
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥1,800,000
キーワード
- エストロゲン
- 春至顆粒
- 春至の粒子
- 春至カプセル
- 更年期障害
- 中医学
- 卵巣機能