精神病性障害における認知機能障害は発症以前から存在して臨床症状や機能的転帰と関連し、患者の生活機能に対し強い影響力を持つ。疾患経過中の認知機能の軌跡は症例毎に異なっており、病態の進行を反映しているかもしれない。本研究では、アジア精神病MRI研究コンソーシアムで集積した多数例の初回エピソード精神病群および精神病発症危険群を対象に、構造方程式モデリングを用いて認知機能の軌跡を軸に脳形態/脳波所見を含むマルチモダル脳指標および臨床/機能転帰との因果関係を調べる。本研究の成果は精神病性障害において病態の進行を予測できるバイオマーカーを同定し、プレシジョン精神医学の実現に近づける可能性がある。