摂食による学習・記憶促進機構に関する研究

  • 佐々木, 和男 (研究代表者)
  • 塚田, 章 (研究分担者)
  • 川原田, 淳 (研究分担者)
  • 大村, 裕 (研究分担者)
  • 大村, 裕 (研究分担者)

プロジェクトの詳細

研究概要

1.摂食行動に対する酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)フラグメント及びFGFレセプタ抗体の作用:aFGFのN端フラグメントaFGF(1-15)の脳室内投与は摂食を抑制したが、aFGF(1-20)やaFGF(1-29)の投与は無効であった。しかし、16番目のシステインをアラニンに置換し、s-s結合ができないようにした[Ala^<16>]aFGF(1-29)の投与は摂食を抑制した。一方、FGFレセプタ抗体を摂食中枢に投与すると摂食は有意に促進された。2.aFGFの学習・記憶促進作用:aFGFを脳内で遊離させるグルコースをマウス腹腔内に投与すると、受動的回避学習やモリス水迷路学習が有意に促進され、この促進は抗aFGF抗体の脳室内前投与で消失することが判明した。3.室傍核小細胞部ニューロン活動に対するaFGF及びフラグメントの作用:ラット脳切片標本を用いて室傍核小細胞部ニューロン活動に対するaFGF及びaFGF(1-15)の作用を検討したところ、両ペプチドは半数以上のニューロンの活動を促進した。室傍核小細胞部にはCRF含有ニューロンが多数存在することから、本結果はCRFを介する視床下部-下垂体-副腎系の活性化を示唆する。4.老化促進モデルマウス(SAMP8)の学習・記憶能力の低下に対するaFGF及びそのフラグメントの作用:SAMP8の学習・記憶能力の低下の原因が内側中隔コリン作動性ニューロンの脱落及びコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性の低下であること、またaFGF及びそのフラグメント[Ala^<16>]aFGF(1-29)の長期皮下投与がこの脱落及びChAT活性低下を阻止し、学習・記憶能力を改善することが判明した。
ステータス終了
有効開始/終了日1994/01/011996/12/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥7,200,000

キーワード

  • 線維芽細胞成長因子
  • 摂食
  • 室傍核
  • 学習
  • 記憶
  • CRF
  • 内側中隔
  • 老化
  • 内側手綱核
  • 老化促進モデルマウス
  • 長期増強
  • 黒質ドーパミンニューロン
  • 副腎
  • 視索上核
  • Fibroblast Growth Factor
  • Food Intake
  • Paraventricular Nucleus
  • Learning
  • Memory
  • Medial Septum
  • Senescence