ヒトの慢性疼痛の多くは難治性であり、うつ病などの気分障害を合併することが多い。その患者ではモチベーション(意欲)が低下し日常生活に支障をきたすことが大きな問題になっている。本課題では慢性疼痛および抑うつ症状を再現できる実験モデルマウスにおいて、動機付け行動の学習およびその遂行中に、動機づけに重要な前帯状皮質と側座核、運動実行に重要な第二次運動皮質と背側線条体の二つの大脳皮質-大脳基底核ネットワークから広範囲に多数の神経細胞の活動を測定・解析する。これにより動機付け行動の学習と遂行への慢性疼痛による行動変容について、情動と運動の二つの神経回路における情報表現を明らかすることを目的とする。