プロジェクトの詳細
研究開始時の研究の概要
局所性アレルギー性鼻炎(Local allergic rhinitis; LAR)は抗原特異的IgEが血清中には検出されず、鼻粘膜局所でのみ確認され、鼻誘発テストが陽性となるアレルギー性鼻炎(AR)であるが、その分子病態については不明な点が多い。本研究では、ヒトB細胞培養におけるARの主要抗原(花粉、ダニ、ペットの皮屑など)の直接刺激によるIgEへのクラススイッチ組換えの誘導を検証し、鼻粘膜でのみIgEが産生される機序の解明を目的とする。LARは将来的にアトピー型ARや気管支喘息に進展する可能性があり、本研究成果はLARのみならず、アトピー型ARやBAの発症予防や薬剤の開発につながる。
研究成果の概要
アレルギー性鼻炎(AR)には、アトピー型ARと局所性アレルギー性鼻炎(LAR)の2つの病型がある。LARは、抗原特異的IgEが鼻粘膜でのみ確認されるARであるが、その病態は不明な点が多い。本研究では、鼻粘膜でのみ抗原特異的IgEが産生される機序を解明するため、ヒトのナイーブB細胞を用いて、抗原刺激によってIgE産生が誘導される培養系を構築したが、遺伝子レベルでのIgEへクラススイッチ組換え(CSR)の評価はできなかった。アトピー型AR患者では、CSRに関与するBAFFと上皮細胞由来サイトカインであるIL-25の鼻汁中の濃度が鼻炎の重症度と関連していたが、LAR患者については検討できなかった。
研究成果の学術的意義や社会的意義
近年、LARという新しい概念が注目されているが、病態は不明な点が多い。鼻粘膜局所でのみ抗原特異的IgEが産生されるLARの発症機序を解明するために、抗原刺激によりIgEへのCSRが誘導されるヒトB細胞を用いた培養系の確立が必要である。また、鼻汁中のIgEおよびIgE産生に関与する蛋白やサイトカインの評価は、LARを含めたARの病態解明につながり、診断、重症度、治療効果判定などのバイオマーカーとなる可能性がある。LARの診断としては、鼻粘膜局所における抗原特異的IgEの証明や鼻誘発試験が陽性であることを確認する必要があるが、日常診療では容易ではないため、今後は簡便な診断方法の確立が課題である。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2019/04/01 → 2023/03/31 |
資金調達
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥2,600,000
キーワード
- 局所性アレルギー性鼻炎
- アレルギー性鼻炎
- IgE
- クラススイッチ
- BAFF
- IL-25
- アトピー型アレルギー性鼻炎
- IL-33
- TSLP
- B細胞