尿中ナトリウム利尿ペプチドを用いた革新的心不全ホームモニタリングシステムの開発

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

心不全の急性増悪による入院を未然に防ぐには、在宅でのモニタリングが必須である。その手段として、非侵襲的に採取可能な生体由来物質の代表格である尿を用い、ナトリウム利尿ペプチド(NP)を在宅で測定する事を発案した。すでに尿中にNPが排泄されている事は報告されているが、NPには構成分子が複数存在しており、いずれの分子が心不全の“程度”を最も良く反映するのかは未解明である。また在宅での尿中NP測定に適した機器開発も必要である。本研究では、心不全患者由来の尿を用いて心不全の“程度”を最もよく反映する尿中NPを同定するとともに、尿処理条件検討や尿中ナトリウム利尿ペプチド測定高感度・自動化の開発を行う。

研究成果の概要

本研究は、心不全を対象に、その重症度を反映するナトリウム利尿ペプチドを尿中で測定する機器を開発し、在宅で病状をモニタリングする事を目的として開始した。まずは尿中のナトリウム利尿ペプチドを安定して測定できる測定系の開発が必要であった。比較的分解されにくいNT-proBNPをターゲットとし、サンドイッチELISAを用いて測定した結果、脱糖鎖処理によって2~3倍の測定値変動がある事が分かった。また心不全増悪前後での挙動も明らかになっていなかったため、本研究で心不全増悪入院時と退院時の尿中濃度を測定した結果、心不全増悪時には上昇していた尿中NT-proBNPが退院時には確実に減少する事も判明した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究では、将来的な在宅モニタリングの機器開発へ向けて、基盤的研究成果が得られた。本研究で得られた尿中NT-proBNPの濃度分布や、脱糖鎖処理によって変動する濃度、また血行動態と共に尿中NT-proBNPも変動しうる事は、将来的な非侵襲的バイオマーカーの確立や在宅管理への応用に向けて有意義な結果となった。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/04/012023/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,160,000

キーワード

  • 心不全
  • ナトリウム利尿ペプチド
  • 非侵襲的バイオマーカー
  • バイオマーカー
  • 心臓再同期療法
  • 非侵襲
  • 酸化ストレス
  • 尿