妊婦における麻酔不安定性メカニズムの解明および安全な麻酔法の確立

  • Honda, Yasuko (研究代表者)

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

妊婦の高齢化により,妊娠中の手術および帝王切開術など,妊産婦が全身麻酔を受ける機会は確実に増加している.一方,妊産婦における全身麻酔薬作用は,妊娠に伴う性ホルモン分泌増加の影響により変化するとの報告があるが,その詳細なメカニズムは未だ不明である.当該研究では,ラット海馬のシナプス伝達に及ぼす性ホルモンの影響ならびに全身麻酔薬と性ホルモンの相互作用について電気生理学的手法を用いて測定し,性ホルモンがシナプス伝達の不安定性を来すメカニズムについてin vitro で明らかにする.この結果をもとに,妊産婦における麻酔不安定性の原因を明らかにし,より安全な麻酔薬・麻酔法の解明および開発を目的とする.

研究成果の概要

妊婦の高齢化により,妊娠中の手術および帝王切開術など,妊産婦が全身麻酔を受ける機会は確実に増加している.一方,妊産婦における全身 麻酔薬作用は,妊娠に伴う性ホルモン分泌増加の影響により変化するとの報告があるが,その詳細なメカニズムは不明であった.当該研究で は,ラット脳の神経ネットワークに及ぼす全身麻酔薬と性ホルモンの相互作用について電気生理学的手法を用いて測定 し,性ホルモンが全身麻酔作用の不安定性を来すメカニズムについてin vitro で明らかにした.

研究成果の学術的意義や社会的意義

当該研究から,(a)全身麻酔薬による意識消失は,中枢における神経ネットワークの断片化が関与する.(b)エストロゲンは,臨床使用濃度(6%)のデスフルランによるネットワーク断片化作用を減弱する.(c)(b)の効果は,15%デスフルランでは認められなかったことから,高濃度デスフルランでは,エストロゲンによる麻酔作用の減弱は認められないと考えられた.したがって女性ホルモン分泌の亢進している若い女性あるいは妊産婦においては,通常使用濃度の全身麻酔薬で麻酔管理した場合,想定外の浅麻酔になる可能性が示唆された.
ステータス終了
有効開始/終了日2019/04/012022/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,160,000

キーワード

  • 女性ホルモン
  • 神経ネットワーク
  • 全身麻酔薬
  • 相互相関関係
  • ラット
  • エストロゲン
  • 嗅内皮質
  • カルバコール
  • シータ波
  • 海馬
  • エストラジオール
  • 静脈麻酔薬
  • GABA
  • 妊娠
  • 性ホルモン
  • シナプス伝達