プロジェクトの詳細
説明
太陽内部で生じているとされている太陽g-mode振動は存在が予言されているものの、未だに観測例の報告がない。これは、太陽内部の情報は、光学的に観測することができないことに由来する。したがって、本研究では、Super-Kamiokande実験で取得された太陽ニュートリノ観測データから、周期的な信号を探索することで、透過性の高いニュートリノを用いて太陽内部の運動(g-mode振動)のを探索することを試みる。最終的に、太陽ニュートリノの強度変化の振幅、太陽内部での振動現象の周期、核領域での密度変化、温度変化に関する研究成果を得ることを目標とする。
Outline of Annual Research Achievements本研究は、太陽ニュートリノの観測時刻情報をデータ解析することにより、太陽ニュートリノ強度の周期的な変動を探索することを目的としている。特に、周期的な変動を起こす現象として、太陽中心領域で伝搬するg-mode振動に着目している。太陽ニュートリノの周期的な変動を検証するためには、観測データに含まれるバックグラウンド事象の時間変動が限りなく抑えられていることが必要となる。本年度は、太陽ニュートリノ観測データでバックグラウンドとなる放射性物質であるラドン由来の事象と、宇宙線ミューオンがGd溶解水中の酸素原子を壊すspallation事象の2つに関する基礎研究を推進した。 前者に関しては、Super-Kamiokande検出器に供給しているGd溶解水を実際に採水し、高感度のラドン検出器を利用することで、ラドン濃度を測定した。また、さらなる濃度測定の感度向上のために、ラドン検出器本体の性能向上や新しいラドン抽出用の膜脱気モジュールの性能評価などを実施した。そのほかに、観測データに含まれるラドン由来のバックグラウンド事象の時期変動に関する研究を推進した。 後者に関しては、まず宇宙線ミューオンの到来方向、Super-Kamiokande周辺の山の形状などを考慮して宇宙線ミューオンの到来頻度を予測するシミュレーション(MUSIC)をSuper-Kamiokande用のモンテカルロシミュレーションに導入した。この研究により、より現実的な状況での宇宙線ミューオンのシミュレーションができるようになった。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2021/04/01 → 2024/03/31 |