プロジェクトの詳細
説明
Outline of Research at the Start
太陽内部におけるスピンフレーバー振動模型はローレンツ不変性を破り、電子ニュートリノが反電子ニュートリノへ振動すると予想されている。これによる太陽からの反電子ニュートリノ流量に対して、太陽標準モデルによる流量は無視できるが、従来検出器で検出するためには新たな技術が必要である。本研究はSK-Gd実験を用いて反電子ニュートリノの検出効率を従来から10倍以上改善する。4年間のSK-Gdの運用でローレンツ不変性を破る新物理を探索する。本研究を達成するために以下の項目について遂行する: SKデータを用いたBG推定, シミュレーション開発, 太陽磁場の解析, 系統的な不確定性誤差の評価。
太陽内部におけるスピンフレーバー振動模型はローレンツ不変性を破り、電子ニュートリノが反電子ニュートリノへ振動すると予想されている。これによる太陽からの反電子ニュートリノ流量に対して、太陽標準モデルによる流量は無視できるが、従来検出器で検出するためには新たな技術が必要である。本研究はSK-Gd実験を用いて反電子ニュートリノの検出効率を従来から10倍以上改善する。4年間のSK-Gdの運用でローレンツ不変性を破る新物理を探索する。本研究を達成するために以下の項目について遂行する: SKデータを用いたBG推定, シミュレーション開発, 太陽磁場の解析, 系統的な不確定性誤差の評価。
Outline of Annual Research Achievements
今年度、スーパーカミオカンデ(SK)2008~2018年の観測データを用いた太陽反電子ニュートリノ探索における解析手法を改善し、ローレンツ不変性を破る新物理の感度に相当する電子ニュートリノが反電子ニュートリノへの遷移確率に制限を与えた。水チェレンコフ検出手法による探索では厳しい制限であり、液体シンチレータ検出手法と比べて矛盾しない。SKに硫酸ガドリニウム(Gd濃度で0.011%)を導入してから約1年間の水の透明度や微量に混入する放射性不純物濃度の測定を継続して実施し、安定した検出器の運転を実現した。 一方で、反電子ニュートリノ検出感度の改善および背景雑音事象数の見積り不定性低減のために、以下の項目を実施した。 (a)中性子タグ効率に関するAmBe線源のガンマ線および中性子放出量の直接測定:HPGe検出器、NaI(Tl)検出器と液体シンチレータ検出器、3He検出器を駆使してAmBe線源からガンマ線と中性子の頻度および放出比、中性子エネルギースペクトラムを測定した。 (b)BGO結晶の中性子応答の研究:3MeVと14.8MeVの単色エネルギーの中性子をBGO結晶に照射する実験を実施した。BGO結晶中における原子核のクエンチング係数(本来の反跳エネルギーより低く発光し、見かけのエネルギーが低くなる効果)を決定し、SKシミュレーションにフィードバックする。 (c)背景雑音事象である宇宙線ミューオンの電荷比と偏極を測定し、とくに神岡地下まで飛来する超高エネルギーのミューオンの性質理解に貢献した。 (d)1996~20118年のSK観測データを用いて、太陽フレアによって生じる反電子ニュートリノを探索した。太陽活動に密接に関わっているため、ローレンツ不変性を破る新物理探索における不定性低減に間接的に寄与する。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2020/04/01 → 2025/03/31 |