変形性脊椎症と疼痛に対する分子標的治療法の開発

プロジェクトの詳細

研究成果の概要

変形性脊椎症は、腰痛や脊柱管狭窄の原因となる頻度の高い疾患であり、その根本的な治療法が求められている。我々はマトリックス分解酵素の上流に位置する転写因子c-Fosに注目し、選択的c-Fos/AP-1阻害薬(T-5224)の椎間板変性、椎間板に関連する疼痛や黄色靭帯肥厚に対する抑制効果を検証した。ラット尾椎椎間板穿刺モデルにおいて、T-5224の投与により、画像(X線、MRI)的・組織学的に椎間板変性が抑制された。さらに、疼痛行動解析で疼痛に対する閾値を上昇させた。この結果より、c-Fos/AP-1阻害により脊椎椎間板変性の進行を阻止することができ、さらに疼痛の軽減にも働くことが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

変形性脊椎症は、有病率の高い腰痛症や脊柱管狭窄症を引き起こし、結果として身体活動の低下を招くため、社会的な負担は大きい。しかし、現在においては対症療法が中心であり、椎間板変性や黄色靭帯肥厚を抑制する根本的治療法はない。本研究では、選択的c-Fos/AP-1阻害が、椎間板変性の進行を抑制し、疼痛に対しても抑制的に働くことを示した。このことより、脊椎の退行変化に対する新たな治療法の一つとなり得ることを示した。
ステータス終了
有効開始/終了日2018/04/012021/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,160,000

キーワード

  • 椎間板変性
  • c-Fos
  • 疼痛
  • 黄色靭帯肥厚
  • 変形性脊椎症