プロジェクトの詳細
研究開始時の研究の概要
口腔癌のリンパ節転移の被膜外浸潤を予測するバイオマーカーをメタボローム解析を用いて候補を特定し、そのバイオマーカー候補に関して免疫組織化学的染色を行い発現を検討することで、被膜外浸潤の進展のメカニズムを細胞生物学的に明らかにするとともに、術後補助療法の指標となるバイオマーカーを確立し個別化医療システムを構築することを目的とする。
研究成果の概要
被膜外浸潤の進展度分類を作成し、その有用性を報告するとともに、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。しかしながら、頸部リンパ節転移例で、被膜外浸潤を呈する症例は進行癌が多いこともあり未治療の標本を得ることは困難である。頸部リンパ節転移被膜外浸潤58例についてPD-L1の発現を免疫組織学的染色を行い検討した。58例と対象症例が少ないこともあり、PD-L1の発現は認められていても、進展度分類との間に有意な相関は認められなかった。また、高齢口腔癌患者の治療においては、治療選択の基準が重要であり、標準治療が行えた群のG8スコアのカットオフ値は10.5であり、PSとともに予後予測因子となった。
研究成果の学術的意義や社会的意義
口腔癌における頸部リンパ節転移の被膜外浸潤は術後再発高リスク因子であり、予後に直結するものであり、その術後補助療法は非常に侵襲が強い。本検討では、被膜外浸潤進展度を3つに分類し、現在、免疫チェックポイント阻害剤の適用基準であるPD-L1の発現との相関を検討した。明らかな相関性は認められなかったが、検討症例数が少数にとどまったことが要因と考えられ、症例を集積した検討が望まれる。また、高齢口腔癌患者における治療選択の基準となる指標としてG8スコアの有用性を明らかにした。高齢口腔癌患者の発症頻度は増加しており、高齢口腔癌患者の治療を検討する上で、有用な知見であると言える。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2021/04/01 → 2024/03/31 |
資金調達
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥4,160,000
キーワード
- 口腔癌
- 頸部リンパ節転移
- 被膜外浸潤
- PD-L1
- 高齢者
- G8
- 個別化治療
- 扁平上皮癌
- 分子生物学的検討