本研究計画は、副腎白質ジストロフィーの発症機構の解明を目的とする。本疾患は、ペルオキシソーム膜タンパク質ABCD1の機能欠損による極長鎖脂肪酸の異常蓄積が神経症状発症の原因と考えられている。しかし最近の知見から、発症の直接の原因は極長鎖脂肪酸蓄積ではなくコレステロール代謝障害による免疫応答の破綻がその本質である可能性が考えられる。本研究計画では、Tリンパ球のABCD1機能欠損による細胞内コレステロール代謝の障害が炎症応答の亢進を引き起こし、最終的に神経症状を発症するという機序を検証し、将来的に発症機構に基づいた発症抑制薬の開発に貢献する。