プロジェクトの詳細
説明
ホスフィン型三脚状四座配位子であるトリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン(pp_3)とアセトニトリルを配位子とした五配位三角両錐型パラジウム(II)錯体[Pd(pp_3)(CH_3CN)]^を用いると、アミノ酸官能基の中ではカルボキシル基やアミノ基よりもチオレート型硫黄原子を選択的に配位することが明らかになった。これは、平面型パラジウム(II)錯体には見られない電子的な特徴の現れであるが、さらにこの錯体は立体的要因も重なり、L-メチオニン、L-ペニシルアミン、L-システインといった含硫アミノ酸の中から、L-システインのみを選択的に配位することもわかった。形成した錯体は水に不溶で有機溶媒に易溶であるので、有機層にクロロホルムを用いてL-システインのみを容易に抽出できた。また、L-システインがチオラト硫黄原子で配位したシステナト錯体も単離することができた。生体内の酸化還元反応において重要な役割を果たしているトリペプチドであるグルタチオン(還元型)は、[Pd(PP_3)(CH_3CN)]^と水(弱アルカリ性)-アセトニトリル混合溶液中で定量的にアセトニトリルと置換する。^PNMRスペクトルから、グルタチオンの場合もL-システインの同様にチオラト硫黄で単座配位していることがわかった。この錯形成に伴う吸収スペクトル変化を利用すると、容易に還元型グルタチオンを定量できることが明らかになった。さらに、酸化型グルタチオンは[Pd(pp_3)(CH_3CN)]^とは反応しなかったので、生体内酸化還元酵素系の抗酸化状態を検知できることが示唆された。還元型グルタチオンを配位したグルタチオナト錯体も単離でき、それを用いて有機スズ化合物の分子識別ができることも分かった。現在は、その分子識別能の開発を行っている。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2000/04/01 → 2002/03/31 |
フィンガープリント
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